人気ブログランキング | 話題のタグを見る

山歩きが大好きな三十路ライターの山日記。山行記録を中心に、山の後の温泉の話、道具の話、山で思ったことなど、つれづれなるままに綴っております。


by ton-ni
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
2009.03.20-22 赤岳主稜・阿弥陀岳北稜(1/3)_a0031494_22222750.jpg3連休で八ヶ岳にいってきました。

所属する会の山行で総勢7名(S親方、F棟梁、Iさん、Hちゃん、Kさん、Aちゃん、ニシ)GWの穂高春合宿に向けての訓練山行でした。

初日は美濃戸口から行者小屋まで。朝一番のあずさで茅野に向かい、バスで美濃戸口まで。車で来ていた棟梁と合流し、スタートします。ぽかぽかと暖かく、雪なんてもうない…と思ったら、残った雪が嫌な感じに凍っているところが随所にあり、なんとなく先が思い遣られます。

美濃戸山荘からは、北沢ルートを歩きます。車も通れる緩やかで広く歩きやすい道…のはずが、今回は見事に結氷。日中に温められて溶けた雪が、夜中に凍って…というのをくり返し、ツルツルの氷になっています。しかもその上を雪融け水が流れ、ちょっとした沢状態になっているところも。当然非常に滑ります。比較的歩きやすいところを選ぶように歩きますが、かなり緊張。冬の八ヶ岳を歩くようになって数年たちますが、今までで一番悪いです(苦笑)。堰堤広場で一本立て、アイゼンをつけます。

広場から先は、多少雪も積もり、歩きやすくなっていました。そのうち前方に八ヶ岳の稜線が見えてきます。雲のすき間から見えるかっこいい稜線を見ると、やっぱりヤツガタケはいいなぁ…と思います。赤岳鉱泉でビールを買い込み、行者小屋まで。途中の急登には息があがりましたが、無事に到着。

翌日は赤岳西壁の登攀をします。取付きの偵察を…と、棟梁とKさんと3人で出掛けましたが、すでに足がヨレヨレ。赤岳主稜の取付きなどを確認し、戻りました。その後、親方より登攀ルートとチームの最終発表があり、親方、Iさん、Kさん、Hちゃんは南峰リッジ、棟梁とAちゃんと私は赤岳主稜を登ることになりました。兼ねてからずっと登りたいと思っていたルートに、ようやくチャレンジできます。
# by ton-ni | 2009-04-14 22:24 | 山行記録
2009.03.20-22 赤岳主稜・阿弥陀岳北稜(2/3)_a0031494_2218286.jpg4時起床。天気はとてもよさそうです。

5時30分に出発。文三郎尾根をひたすら登っていきます。ゆっくり登っているはずなのに、緊張のせいなのか息があがってしまいます。急登を詰め、主稜取付きの分岐へ。右ルンゼの斜面をトラバースしていきます。雪はよくしまっているうえ、先行パーティーのふみ跡もあり、ロープなしで進みました。

取付きにはすでに8人ぐらいのパーティーがいて、登り始めています。私たちも準備を始めましたが、そのあとからも続々とパーティーがやってきます。今日は無茶苦茶混雑しそうで、先が思い遣られます。棟梁の粋なはからいで、基本的に私がトップで登り、棟梁とAちゃんが時間差で同時登攀で登ることになりました。取付き到着後30分ほどでスタート。

2009.03.20-22 赤岳主稜・阿弥陀岳北稜(2/3)_a0031494_22175774.jpg1P目:ニシリード
チョックストーンのあるチムニーから凹角を登りコルまで。予想通り、チムニー(Ⅳ-)で大苦戦。左側のお助けスリングを掴み、数分セミになりつつも、なんとか抜ける。
2P目:棟梁リード
カンテ状の岩場を左側から回り、岩場を越える。セカンドなのでちょっと気持ちよく登れた(苦笑)。
3P目:Aちゃんリード
雪稜を歩き、中間の岩場まで。通常はミックス帯らしいが、雪にしっかり埋もれ、しかも雪は固めで気持ちよく歩ける。
4P目:ニシリード
階段状の岩を登り、ふたたび雪稜へ。…が、うまいビレイポイントがなく、迷うこと数分。雪面にピッケルとバイルを打ち付けて支点を作り、後続をビレイ(今思うと、普通にスタンディングアックスビレイをすればよかった)。
5P目:棟梁リード
上部岩壁まで、雪稜を歩く。上部岩壁は既に数パーティーが順番待ちをしている状態。やはり数十分待つはめになる。
※3〜5P目は、コンテで登っているガイドパーティーにどんどん抜かされた。
6P目:ニシリード
はじめの小垂壁を乗り越すところで足がうまく決まらず大苦戦。別のパーティーの人達からアドバイスをもらい、なんとかクリア。ミックス帯を右上した途中に2つボルトがあり、ここでビレイ。
※本来は、その先の垂壁まで登りビレイをする。自分がビレイをしたところは足場も悪く、よろしくなかった。
7P目:棟梁リード
ミックス帯をさらに進み、垂壁は凹角を直上した(右から回りこむとさらに簡単だったらしいが、今回登ったところも登りやすく気持ちよかった)。さらにミックス帯を進み、リッジの手前でビレイ。
8P目:ニシリード
岩のリッジを跳び箱をまたぐように慎重に越え、少し雪壁ぽくなっているミックス帯をピッケルとバイルを使って登っていく。凹角の手前でビレイ。
9P目:ニシリード
雪壁を登りきり、なだらかな斜面でビレイ。全員揃ったところで、ロープを解き、山頂へ。…が、緩やかな斜面なのにすっかり疲れ切っていて足が進みません。棟梁がサクサクと先行し、よたよたとついていく私とAちゃん。北峰に到着すると、南峰リッジチームがすでに到着していて出迎えてくれました。

下山は地蔵尾根経由で。気温があがり、少しぐさぐさした雪でした。足を滑らせながらガンガンに下りたいところですが、やはり疲れでなかなか足が進みません。よろよろで行者小屋のベースキャンプに到着。ここで今日のパートナーたちは下山。残ったメンバーで登頂祝の宴会が始まります。翌日は阿弥陀岳北稜。さて、どうなることやら。
# by ton-ni | 2009-04-14 22:20 | 山行記録
4時起床。夜中じゅう激しい風が吹き荒れていました。

雪は降っていませんが曇り空。山の上部はややガスっているようです。予定どおり阿弥陀岳北稜登攀に。この日はIさんがテントキーパーとなり、親方とKさん、私とHちゃんがロープをつなぎます。

6:00スタート。歩いたことのある私が先行します。文三郎尾根を登り、途中で右にルートをとります。広い沢に出てすぐ右の稜線に登ると楽(トレースもしっかりついている)なのですが、登り口を見誤り、沢をずっと詰めていってしまいました。右に見える顕著な稜線が北稜なのに! 歩いている先行パーティーも見えてちょっと焦りますが、上部でプチラッセルをしながら北稜に戻ります。尾根沿いの道は、一般道かと思うほどトレースがっちり。雪もよくしまっていて、第一岩峰手前の雪壁もしっかりアイゼンをきかせながら登れました。

第一岩峰に到着すると、すでに2パーティーが取付いていました。そのうちの1パーティーは、山仲間のうしさんとパートナーのしもちゃんでした。ここでロープをセットし、うしさんたちが登ったあとにスタート。

1P目:ニシリード
前のパーティーにならい、凹角を直上しようとして失敗。上部で手詰まりになってしまっていったんおり、親方がお手本で上ってくれた。自分でルートファインディングもできないことに非常にへこむが、気持ちを落ち着け、Hちゃんに励まされながらスタート。親方にならい、凹画を途中までいき、右上する。慎重にバランスをとり、稜上に出たところでビレイ。
2P目:ニシリード
岩と草つきのミックス。潅木を掴んだり、雪面にバイルを刺しながら、慎重に登っていく。大きな岩のある安定したテラスでビレイ。
3P目:Hちゃんリード
せっかくなので、Hちゃんにもリードをしてもらった。岩と雪の快適なフェースを登り、丈夫でちょっとしたナイフリッジを渡ると広々とした雪面に。そのままロープつないで進み、阿弥陀岳の山頂へ。親方とKさんをかなり待たせてしまった。反省。

360度乳白色の大展望、しかもかなりの強風。速攻で下山を始める。トレースをたどりながら慎重に、でもすばやく下っていく。斜面が急になったところで、大人数の先行パーティーがロープを使って下山していたが、その横を、バックステップでさくさくと下りていく。寒いので雪はよくしまっており、アイゼンとピッケルがしっかりときくのが心強い。しかし延々とバックステップを続けると、ふくらはぎが疲れてくる。中岳のコルからは中岳沢を下る。ここは雪崩の巣だけに、一気に駆けおりる。行者小屋に着くと、Iさんが温かい甘酒を作って待っていてくれた。有難い。

私たちが荷物の整理をしている間に、Iさんがテントを撤収してくださり、11時に下山スタート。南沢ルートをどんどん下るが、やはり中腹からは溶けた雪が氷の道のようになっていた。美濃戸山荘まで着いてやっと一息。さらに美濃戸口まで歩き、終了。

今回はいろいろと考えさせられる山行となりました。多少ロープワークに慣れてきたと思っていたけど、やはり登るのが遅すぎる。登る技術じたいをもっと上げていかないといけないし、体力もまだまだ。アルパインクライミングを続けていきたいと思うなら、もう少しがんばらなくてはいけないなぁ。しかしとりあえず、おつかれさまでした。
# by ton-ni | 2009-04-14 22:14 | 山行記録

もう、会えない。

「生きているなら、また一緒に山に行けるようになるかもしれないじゃない」

私には、気持ちの行き違いから非常に疎遠になってしまった山仲間がいます。ずうっと一緒に山を楽しんでいきたいと思っていただけにショックで。そんな話をとある山仲間に放したら、こういう返事が返ってきたのです。たしかにそうだけど、生きているからこそ、連絡もとりづらいような関係になってしまったのが悲しい…と思っていました。

でも。

先日、山関係の知人が山で亡くなったことを知りました。その方とは講習会などでよく顔を合わせていました。とても熱心に勉強をされていた方でした。山で御一緒したことはありませんでしたが、講習会のあと、その方もまじえて数名で飲みにいったことがあります。山もだけどお酒も大好きそうで、みんなでどんどんお酒を飲みながら、食べながら、山の話や講習会の話で盛り上がったのを覚えています。

「じゃ、また次の講習会で」そういってお別れしたのに、もう会えない。

山関係の知人が、山で亡くなったのは初めてです。その方の訃報を知った日は、なんだか頭がぐるぐる回って、突然涙がバーッと流れて。それほど親しい山仲間ではなかったにしても、いろいろなことを頭に思い浮かべて、とても寂しい気分になりました。

実はその方が亡くなった2週間後、同じ山に行っています。そのときは何も知らずに歩いてきたのです。ニュースで流れる、山の遭難事故。どこかで自分とは無縁、と思っていました。しかしそれは間違いで、自分が足しげく通う場所で現実に事故が起き、身近な人が命を落としている。自分のしている「登山」にどういうリスクがあるのかを、改めて考えさせられたのでした。
# by ton-ni | 2009-02-22 15:13 | ぼやき。
東京都山岳連盟の「冬山のセルフレスキュー講習」にいってきました。

昨年も同様の講習会に参加しています。谷川岳周辺で1泊2日、雪崩に対する対策を中心とした講習内容です。今回は、所属する会のKさんと2名で参加しました。基礎知識を学ぶクラス1、ロープを使った救助も学ぶクラス2がありましたが、昨年に引き続きクラス1を受講しました。

2月14日
なんと終日雨。気温が高かったようですが、風が強く、体感温度はやや低めでした。周辺の積雪は昨年よりずっと少なく、今年は雪不足なのだ…と感じました。
●雪質観察
約1mほど掘り、断面の雪温を見たり、実際に触ってみたり、雪の結晶をルーペで見たりしました。たしかに雪は層になっていて、ざらざらして硬いところ、柔らかいところ、きめこまかい雪がみっしりとしているところなど、いろいろあるのが分かりました。
●弱層テスト
大がかりに行なうスクラムジャンプテストは、講師の方々が実演をしてくださり、そのあとでハンドテスト、スコップを使ったコンプレッションテストを実習。実際に行なうと、ほろりと崩れるところがあり、断面を見るとどういう雪が弱層となるのかがよく分かります。ハンドテストやコンプレッションテストは比較的容易にでき、たとえば休憩時にさくっと行える印象。
●ビーコンを使う
ビーコンのシステム、基本的な操作手順を聞き、どのくらいの距離から受信するのかを確認したり、実際にビーコンを使って探す練習をしました。ビーコンには、デジタル表示・アナログ表示のもの、シングルアンテナ、デュアル、トリプルなどさまざまな機種があります。正直なところ高機能(高額)なものほど使いやすいと感じましたが、高機能のものでも、使い方が悪ければなかなか見つからないわけで、使い方に習熟していることが大切と感じました。

2月15日
前日とはうってかわって快晴!この日は体を動かす実習が多く、夏用の薄手の長袖シャツを着ていたにもかかわらず、ずいぶん汗をかきました。
●埋没体験
全身埋没、半身埋没を行ないました。(私は昨年全身をしたので、今年は半身で)。全身埋没では、30cmほど埋まってもらい、声が届くかとか、プローブで突いてみた感触を確認したりしました。半身ですが、手首にピッケルバンドを巻いた状態で埋まりましたが、半身でもなかなか動けません。また、ピッケルバンドを巻いたほうの手は、ピッケルがアンカーになって、全く動かすことができませんでした。掘り出してもらうときも、けっこう掘り出してもらわないと動けないのですね。
●雪崩遭難救助のシミュレーション
山の斜面で雪崩が発生し、先行していた2人パーティーが雪崩に巻き込まれたのを目撃、遭難救助を行なうという想定で、救助のシミュレーションを行ないました。はじめに講師がデモを行ない、続いて受講生が行ないました。「2人のうち、1人はビーコンを持っていて、もう1人は持っていない」という想定で、はじめにビーコンで捜索、そののちプロービングで捜索…という手順。実際に行なうと…、なかなか見つからず、パニックになります。落ち着いて、ひとつひとつの手順を確実にすること、それからチームワークが大切と実感。

正直、 昨年は講習の内容についていくのが精一杯。しかも初日はすごく寒かったのと、慣れない場にかなり緊張していたのとで、知恵熱?を出してしまい、夜の飲み会にほとんど参加できませんでした。今年は昨年よりしっかり勉強して臨んだので、理解も深まったように思います。知恵熱も出さず、飲み会にも最後まで参加! スタッフの皆さんや他の会の方々から、有意義なハナシもたくさんうかがえました。

とても充実の講習会でした。ありがとうございました。
# by ton-ni | 2009-02-17 22:16 | 山行記録