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山歩きが大好きな三十路ライターの山日記。山行記録を中心に、山の後の温泉の話、道具の話、山で思ったことなど、つれづれなるままに綴っております。


by ton-ni
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08.08.15-18 劔岳(1/4)

08.08.15-18 劔岳(1/4)_a0031494_19424289.jpgお盆休みに劔岳にいってきました。

今回は所属する会の夏合宿で、メンバーは総勢7名。いつもの「登攀チーム」のS親方とF先輩、会OBのA先輩、今年岩を始めたばかりの後輩たち3名(Kさん、Hさん、Mさん)です。前夜、竹橋から出発する夜行高速バスで室堂へ。バスは案外にすいていて、迷惑な大いびきの人もおらず(笑)、ゆったりと休むことができました。

翌朝、7時過ぎに室堂に到着。霧雨ぎみガスガスの天気です。今日は剣沢を経由し、真砂沢のキャンプ場まで進みます。身支度をしてからゆっくりスタート。登攀具と9mm×50mロープ、アイゼンなども入り、今回のザックは16〜7kg。かなりずっしりときます。歩き始めて10分もたたないうちに、雨が本降りになってきました。慌てて雨具を上下着込みます(染みテックスでない雨具、最高です)。

アップダウンの少ない地獄谷を経由して雷鳥平へ。川を木の橋で渡ると、いよいよ雷鳥沢の急登が始まります。雨もだんだんあがってきて、登り切った劔御前小屋で軽く一本。目の前に見えるはずの劔岳はガスの中です。ここからはゆるやかに下り道を歩き、剣沢小屋へ。アオノツガザクラやハクサンイチゲ、ヨツバシオガマなど、夏から初秋にかけての花が咲き乱れるお花畑の中を歩きます。剣沢小屋付近でゆっくり昼食タイム。

剣沢小屋もずっと下り道。しばらく歩くと日本三大雪渓のひとつ、剣沢雪渓です。さほど斜度はなく、それでも慎重に歩いていきます。親方が滑らずに安定した歩きかたのコツを後輩たちにレクチャー。多少急なところはありましたが、結局アイゼンをつけずに歩きました。途中1ヶ所、雪渓が切れて危ないところがあり、夏道?を歩きました。

真砂沢キャンプ場に到着し、テント設営。のんびりしていると、扇沢からこちらに向かっていたF先輩も到着しました。みんなで入山祝い。夜行バスでの寝不足もあり、この日は19時前には全員就寝。おやすみなさい。
# by ton-ni | 2008-09-12 19:50 | 山行記録

08.08.15-18 劔岳(2/4)

08.08.15-18 劔岳(2/4)_a0031494_193727.jpg2日目。今日のメインイベントは6峰登攀です。

明け方まで雨が降っていましたが、出発する頃にはあがりました。まずは熊の岩をめざします。剣沢雪渓を登り、長次郎谷出合のところでアイゼンをつけます。雨上がりなのと気温が低いせいなのか、雪渓はやや堅い印象。しかしアイゼンがよく効き、気持ちよく歩けます。天気もだんだんよくなり、目の前には青空と岩稜が広がります。出発から3時間ほどで熊の岩に到着。やや奥まったところにテントを張ります。

天気もかなりよくなってきて、岩場も乾いているだろうということで、全員で6峰登攀の準備。今回は、私とA先輩、KさんがCフェースの剣稜会ルート、F先輩とHさん、親方とMさんのチームでDフェースの富山大ルートを登ります。剣稜会ルートは3人登攀で、私が全ピッチダブルロープでリードして、1人ずつフォローで登ってもらうことにします。熊の岩から取付きまでは雪渓をトラバースし、ややもろいガレ場を登っていきます。取付きに到着し、素早く登攀準備。

08.08.15-18 劔岳(2/4)_a0031494_19372854.jpg1P目:登り始めが分からず、上部に見えたハーケンにつられて妙な垂壁に取付いてしまった。手がかりがなく、探っているうちにグランドフォール。地上1mほどだったので、擦り傷と打ち身だけですんでよかったが、止めようとしてくれたA先輩も少し擦り傷を作ってしまった。申し訳ない…。気をとりなおしてよく見れば、右側に回り込んでスラブを登ればよいだけのことだった。傾斜もなく、ホールドも豊富。ただ、ピンがなかなか見つからない。登りながらピンを探し、ゆっくり進む。左上し、凹角を登ってテラスへ。
ビレイ解除後、コールがうまく伝わらず、もたついてしまう。
2P目:凹角からハイマツまじりのフェースを登る。快適。
3P目:フェースを左上し、さらにリッジ右のフェースを登っていく。かなり長い。ビレイポイントの少し手前でロープがいっぱいになってしまい(「あと●m」のコールを聞き損ねていたらしい)、かなり焦る。やむを得ず、ハイマツのある小さなテラスでピッチを切る。このあたりで雨が降り始めた。
4P目:少し登り、切り立ったナイフリッジをこえる。右側をトラバースするのだと思うが、岩がすでに雨で濡れていて怖い。ナイフリッジを跨いで進んだ。
5P目:雨は土砂降りに。やさしいリッジのはずが、濡れて怖い。実はこの時点で半袖七分丈パンツで、雨具を着ていなかった。登っていても寒い。終了点に着いて、どうにもガマンができなくなり雨具を着る。Dフェースを登っていた親方&F先輩チームはとっくにこちらの終了点に来ていて、寒さでよぼよぼになってビレイしている私を見兼ねて、ビレイを手伝ってくださった。有り難く、申し訳ない。

Cフェースの頭に全員集合し、下山開始。F先輩が先頭に立ち、5・6のコルを目指します。途中、懸垂下降を2回。雨は土砂降り。道を沢のように水が流れていきます。全身ずぶ濡れになりながらの下りは本当につらかった…。それでもなんとか熊の岩のテント場へ到着。濡れた服を着替え、温かいものを飲んで、ようやくほっとしたのでした。テントの中で「敢闘祝い」をし、翌日、多少なりとも天気が好転することを期待しながら就寝。
# by ton-ni | 2008-09-12 19:39 | 山行記録

08.08.15-18 劔岳(3/4)

08.08.15-18 劔岳(3/4)_a0031494_1930368.jpg3日目。長次郎雪渓を詰めて本峰を越え、剣沢に下ります。

この日も朝から霧雨。ガスで視界もあまりよくありません。好転するのを少し待ちましたがあまりよくならなそうなので、霧雨が止んだところでテントを撤収し出発。雪渓が上まで続いている左俣を歩きます。はじめ数十m、ガレた斜面を歩き、途中からアイゼンを履いて雪渓に。雪じたいは締まっていて歩きやすいのですが、斜面がかなり急。トップを歩いてくださるA先輩は、足に負担がかからないよう、ゆっくりペースで、直登でなくジグザグにルートをとっています。アイゼンをしっかりきかせながら、フラットフッティングを意識して歩きます。途中、シュルンドがいくつもあるのを除けながら。先輩の的確なルートファインディングのおかげで、安定して歩くことができました。2時間ほどで長次郎の頭に到着。ここでアイゼンをはずし、大休止。

ここから本峰まではややガレた岩稜歩きになります。ガスガスで周囲の景色が全然見えないのが悲しい…。雨は霧雨が降ったり止んだり。岩も少し濡れていますが、点線ルートだけあってしっかり踏まれていて歩きやすいです。ザックの重みがだんだん感じられてきます。考えてみたら前日ずぶ濡れになったロープや登攀具はおそらく通常の1.5倍ぐらいの重み。20kg近くなっていたと思います。

岩稜歩きをはじめてしばらくして、上から「ラク!」の声。先を歩いていた後輩が石を落としたのです。慌てて避けようとしたのですが、避けようがなく、頭頂部に拳大の石が直撃しました。あまりの衝撃(というかショック)にしばらく座り込んでしまいます。先輩方が駆け寄り、頭を見てくれましたが、一応出血はなく、行動に支障が出るようなダメージもなさそうだったので、少し休んでから進むことにします。※この稜線上は浮き石が若干多いですが、落とさなくては歩けないような場所ではありませんでした。落とした後輩には、あとで少しきつく注意をしました。

落石にも、重い荷物にもめげず、浮き石に気をつけながら一歩ずつ歩を進め、本峰に到着。最近の傾向ではありませんが、360度乳白色の大展望。晴れるかもしれないと少し粘ったのですが、全然霧は晴れてくれず、下りはじめることにします。ガスで視界が効かないと下り始めのルートファインディングはちょっと注意が必要ですし、岩場の下りでザックの重みに振られてしまいます。岩や鎖は雨に濡れていて、岩は案外に滑らないのですが鎖はかなり滑りました。カニのヨコバイやその先の岩場で団体がいてちょっぴり渋滞。快く追いこさせてくれたので助かりました。…しかし、段々に疲れもたまってきて、前劔までが妙に長く感じました。

08.08.15-18 劔岳(3/4)_a0031494_19304791.jpg前劔を過ぎたあたりから、だんだんガスが晴れ、青空が見えてきました。振り返ると劔のどっしりした山容が。しかしまだまだ道は長いのです。一気に下って、また登って一服劔。前方に剣山荘や剣沢のキャンプ場が見えてきますが、まだまだ先です。ガレっぽい道を下り、ちょっとした鎖場を通過して、さらに下り、ようやく剣山荘へ。親方がちょっと調子悪そうなのが気になり、ロープを持たせてもらうことにしました。…ラスト1ピッチ、なんとかなると思ったのですが、自分のロープや登攀具も含め、おそらくザックは25kg近くに。しかもキャンプ場への最後は登り。しかしここはがんばるしかありません。ヨロヨロになりながら、なんとかキャンプ場へ到着。

荷物を下ろし、濡れたものを乾かし、テントを張り。目の前には今日歩いてきた劔の山容が大きく、右側には前日に登った6峰もちょっとだけ眺められる幸せ。夕食に舌鼓を打ち、あっという間に就寝。寝る前にテントから出て空を見上げたら、星がずいぶんたくさん見えました。

つづく。
# by ton-ni | 2008-09-12 19:30 | 山行記録

08.08.15-18 劔岳(4/4)

08.08.15-18 劔岳(4/4)_a0031494_1926048.jpg4日目。名残惜しくも下山日であります。

遅めに起床し、朝食後、ゆっくりと荷物の整理。快晴です。昨日まで雨に濡れた荷物もずいぶん乾いていて、ほっとします。名残惜しくもスタート。ゆっくりと劔御前小屋まで登り道。この道を歩く時は、いつも一昨年の10月の暴風雪の撤退シーンを思い浮かべてしまいます。あのときは真っ白で何も見えなかった、劔御前小屋の手前のトラバースがすごく怖かった(夏道だとなんとも思わないところなのに)。今回は夏から初秋の高山植物を楽しみながら歩いていきます。劔御前小屋で一本立てているとき、槍・穂高の見える場所を親方に教えてもらいました。北鎌が、滝谷が、遠くに見えて感無量。

劔御前小屋からは雷鳥沢をひたすら下ります。「あとは下るだけ」と思っているから、足も軽快。景色も楽しみつつ、クロマメノキが実をつけていないか見ながら歩きます。ひたすら下って、雷鳥平へ。しかしここからも長いです。長い石段を登っていきます。途中に咲く花の写真を撮りながら、最後の歩きを惜しむように。そしてとうとう室堂のバスターミナルへ到着。帰りはトロリーバスやロープウェイを乗り継いで扇沢へ。最近の定番となっている「薬師の湯」で汗を流し、あずさで帰京したのでした。

充実の4日間でした。個人的には、まだまだ駄目な自分を再確認することになってしまいました。登攀に関しては、「スピードも技術のうち」というのを痛感。もっとスムーズに登れていれば、登攀中に土砂降りの雨につかまることもなかったわけで。ゆっくり=安全というイメージがあるけれど、岩では(山では)必ずしもそれが正解ではないのです。登攀後の下降も、雪渓の登りも、今回は先輩に頼り切りになってしまったことも反省。しかし、劔は本当に懐が深く、素敵な山だと実感。この山をもっと楽しめるように、精進していきたいと思います。
# by ton-ni | 2008-09-12 19:28 | 山行記録
08.07-21 槍ヶ岳@北鎌尾根(1/4)_a0031494_1183221.jpg 7月の3連休、槍ヶ岳にいってきました。今回は所属する山岳会のF先輩と2人、北鎌尾根を歩きました。上高地から入山します。

 前夜、新宿20:00発のあずさで松本へ向かい、Fさんと合流。そのまま沢渡へ直行し、市営第二駐車場で幕営。翌朝、沢渡からタクシーに相乗りし、上高地へ。早朝にもかかわらず、すざまじい人。初日は行程が長いので、すばやく身支度をし、スタートする。上高地から明神、徳沢、横尾への道は、ほとんど平坦な散策路だ。Fさんとともに快調にとばしていく。…しかし暑い。樹林帯の中はもう少し涼しくてもよさそうなものだが。

 槍沢ロッジまでは高低差もさほど感じない樹林帯だ。沢の流れを左手に眺め、ごうごうと流れる音を聞きながら歩く。槍沢ロッジからは少しずつ勾配が強くなっていく。ババ平のキャンプ場を過ぎ、さらに進み、水俣乗越との分岐・大曲に到着。水俣乗越への道は涸沢をジグザグに登っていく。道はしっかりついていて迷うことはないが、等高線で見るとおりの急勾配。ゆっくりと登りながら、次第に息があがっていく。シナノキンバイなどの高山植物がずいぶん咲いているが全く見る余裕がない。ヨタヨタしながら、なんとか水俣乗越へ到着。

08.07-21 槍ヶ岳@北鎌尾根(1/4)_a0031494_1184326.jpg ここからは地形図にも道の表示がない、バリエーションルートとなる。天井沢の下りはかなり明確に踏み跡がついているが、下り始めはかなり急で、ザレているところは足を滑らせそうで怖い。ほどなく雪渓が現われるが、雪渓の脇につけられた道を歩く。途中から、かなり急な雪渓を下らなくてはならなくなり、持ってきていた6本爪のアイゼンを付けて下る。

 雪渓がなくなったところでアイゼンをはずし、涸れた沢をひたすら下る。大きな岩がゴロゴロしているように見えるが、よく見ると歩きやすい石があり、道のようになっている。ひたすら下るうちに、左手に水がごうごうと流れる沢が現われ、さらに進むと北鎌沢出合へ。小さなケルンが目印だ。

 明日登る場所を正面に見られる場所にテントを張り、早々に入山祝い。Fさんの作ってくれた焼きビーフンやかぼちゃのほうとう(山梨の味覚!)に舌鼓を打ち、ビールを飲む。翌日は長く厳しい行程になりそうなので、早めに就寝。
# by ton-ni | 2008-07-26 01:30 | 山行記録